• NPO法人 コシコシの会

シリーズ認知症の窓 No.2

当事者が語る認知症体験

 「私は誰になっていくの?―アルツハイマー病者からみた世界 (檜垣 陽子・翻訳)」の原著者であるChristine Bodenクリスティーン・ボーデンさんが、DI2017の京都大会に来日され、日本認知症ワーキンググループ (Japan Dementia Working Group:DWG http://www.jdwg.org) 主催の「people with Dementia Relay for hope- Pass the hope from people with Dementia to people with Dementia.(認知症とともに生きる-わたしたちからの希望のリレー: 当事者から当事者へ)に来賓として参加された。
開会の冒頭に、彼女の夫と共に壇上に立たれて、短いながらしっかりとした挨拶をされた。

 クリスティーンさんは、オーストラリア政府の高官として多忙の中、当時の前夫の家庭内暴力と闘いつつ離婚裁判などのトラブルを経験したのち、1995年に初期のアルツハイマー病と診断されたが、発症後に再婚して認知症患者の人権擁護を訴えるために、世界中で講演しながら、ADI2004に参加された経歴の持ち主です。

 ”一度に一つのことだけしないと混乱してしまうこと、自分のことをうまく説明できないことで圧迫感を感じ、ストレスが生まれること、複数の音を聞き分けることに大変な努力を要するので、にぎやかな場所にいると大変に疲れることなどが著書に記されています”。

 今年のADI2017でのWGでは、6人の当事者が参加され、認知症と診断された本人自身が現在の生活について語られた。
 座長の丹野智文氏(3年前、39歳でアルツハイマー型認知症と診断され、現在43歳)の進行の下、共同代表の藤田和子氏、佐藤雅彦氏など他3人の同病者の方々が日々の思いを語っておられました。
 ‥‥認知症への偏見は決して少なくないこと、それを少しでも緩和するには、
自らが社会において公言して、その偏見を取り除くべく努力すべきこと、何もかもできなくなることもないこと、考えられなくなることもないこと、サポートがあれば働けること、同年代の仲間と過ごす時間が何よりも大事なこと、恥ずかしいと思わず、公表し周りの支援を受けていければ認知症になっても充実した人生が送れること、などを各自が発表されていました。

 認知症になってからも、信頼できる人びととともに笑顔を忘れずあきらめないこと、生活の工夫を積み重ねていくことが大切であることを伝えたいということでした。
認知症は、疾病ではなく障害であり、そのプロセスであること、誰にでも起こりうる障害であり、恥ずかしいと思わず、公表し、周りの支援を受けることで、充実した人生を送れることなどを訴えておられました。