厚労省のホームページ内に、「身元不明の認知症高齢者等に関する特設サイト」というものがある。(2016年6月現在)
認知症高齢者等が警察等に保護されたものの自分がどこのだれであるか伝えることができず、身元が分からないまま市町村において保護されている場合があり、捜索活動に資するためにと設けられたものだそうだ。
2016年6月現在、数は多くないがいくつかの自治体の情報公開ページへとリンクがつながっている。
行方不明にならずとも、認知症高齢者が1人で家を出て行ってしまうことは、介護する家族にとっての心配事の1つである。
前回のコラムで、愛知県大府市で起こった認知症高齢者の列車事故を取り上げたが、認知症高齢者が起こしてしまった事故によって、家族が賠償を求められるケースが今後増加していくことが考えられる。
警察庁によると、2014年に認知症が原因で行方不明になったとして家族らから届けられたのは1万783人で前年より4.5%増加、2年連続で1万人を超えていたそうだ。
認知症の高齢者への対応を警察官が迫られるケースが増える中、警視庁は、全ての警察官と職員約4万6000人を対象に、「認知症講座」の受講を義務化することを決め2015年度中に受講完了をめざすとのことである。
また福岡筑紫野市、市内の小中学校の子どもを対象に、徘徊で行方不明になった高齢者を探す「人探し訓練」を行い、子どもたちに認知症を知ってもらう試みが催された。認知症サポーター講座の受講者数も全国で7百万人を超えたという
(認知症サポーターキャラバンHP)
家族に監視と責任を押し付けるだけでは社会を支えきれないということを社会全体の理解とすることが目指される。上記のような地域で働く職種や各世代への啓蒙活動はその一つであるが、大切なのは地域特性に合わせて行うこと、各自治体と住民が一緒になって考え始めることではないだろうか。
(坂井圭介)