大学生の入学人口は、2018年からさらに激減すると推計されている。大学の立地場所、学部、学科によっては、閉校を余儀なくされるところも増えると推定されている。そのような教育環境の中、知識の宝庫たる大学が、自ら地域社会に目を向けて、中高年世代を大学に引き込む試みが注目を浴びている。地域社会に眠っている活力を大学に呼び込み、現役の若い世代の学生と大学のキャンパスでともに学び、人生を語りあう中で、人生の先輩から知恵を貰い、若者から元気をを貰い、両世代が生きる活力を取り戻そうとする試みだ。地域包括支援センター(2025年には、全国の自治体に設置する国の施策)で働く各分野の専門家の養成、医療・保健・福祉・心理の専門家を育成する大学で、現役の職業人や退職者の経験と生きた知識と技術を若い学生に投げかけて、ともに人生に対する有能感を高める機会とするという試みである。高齢者の生きがい作り、要介護者を取り巻く医療機関・福祉施設と地域の行政機関との連携を図りながら、その中核に生涯教育の役割を担う「大学」を位置づける試みである。政府は、地域再生法改正案を2016.3月の国会に提出しており、日本版CCRC構想を制度化する方針を打ち出している。
以前、このコラムで紹介した日本型CCRC(Continuing Care Retirement Community:CCRC。継続ケア付き定年退職者コミュニティー:継続的なケアを受けられる高齢者の地域共同体)の立地が全国のいくつかの大学で、すでにその実現に向けて動き出している。桜美林大学、千葉大学、東京大学、高知大学、山梨大学などにすでにその試みが始まっている。